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地中美術館
やっと、「地中美術館」へ到着。
と、思いきや、
よくみると「地中美術館チケットセンター」。
どうやら、この場所で説明を受けるらしい。

「作品に触らないでください」
「建物に触らないでください」
「写真撮影はお控えください」
「撮影機器は置いていってください」
「携帯の電源を切ってください」
すると、
一緒に乗ってきた黒い服にスタンドカラーのシャツを着た男の人が
「作品は見ていいんですか?」
と、間髪容れずに質問する。
そして、「ベビーカーは置いていってください」
とのこと。

未だ爆睡している我が子を抱きかかえ、
いざ地中美術館へ!

地中の庭を通り、
アンドー建築のムンムンと草いきれする中、
悠々しく僕たちを迎え入れてくれた。

竣工する前アンドーは雑誌で、
「今度はスランプ15のコンクリート打つ!」
「継目のない巨大なコンパネを発注した!」
などと、鼻息荒げて言っていた。

やっぱりアンドーはコンクリートフェチなのか?
そんなことを思いながら
エントランスから長い通路を抜け、
トクサの植わった四角形の中庭を見ながら階段をぐるりと上がっていく。
するといきなりコールドジョイントが見られる。
これを見たアンドーはおそらく卒倒したに違いない。
そして、現場監督の首が飛んだか工事費を値切られたか、
いずれにしてもただごとではすまなかったに違いない。
しかし、僕にはこの不具合よってアンドー建築の迫力や力強さ、
空間の意思が失われているようには思えない。

さらに進んで行くと、
クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレル
と、いった現代美術品を味わうことが出来る。

今までは、アンドー建築の凝り固まった芸風により、
建築と美術との距離を感じていた。
しかしこの美術館は
『1000年後にも残るものを』
という構想のもと、
建築と美術が自然な距離を保ち、
直島のゆっくりとした時間の中で、
静かにメッセージを発信し続けて行くだろう。

ここへは、子供がある程度大きくなってから来るべきだと思った。
アンドー建築のボキャブラリーである「自然光」が酷熱の地と化し、
「長い通路」が汗だくになった僕の行く手をも邪魔しているようにさえ感じた。
我が子も、汗だくになった父親の体が寝苦しく思ったのか、
地中カフェに着くころには目を覚まし、
モネの好物だったバナナアイスクリームとマンゴージュ-スを飲んで、
瀬戸内海を背にアンドー建築を満喫していた。
そんな我が子と、道に迷ってしまった僕の妻を手に、
「地中美術館」を後にした。
by kta-room | 2006-06-16 09:40 |
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