子供ってのは何故どこにでももぐりこみたがるんだろう、、、
中でも、もぐり込むモノとしては最高のモノである
「蚊帳」の中で寝ることにした。
「いまさら・・・」と言う声も聞こえるが、
マア良いではないか。
案の定、娘は目を輝かせ狂喜したのだから・・・。
やわらかな優しい自然を家の中につくり出す「蚊帳」は、
知恵深い道具の一つであり、もう一つの家の中の家でもあった。
シンシンと底知れぬ蝉時雨。
時に風をはらみユッタリと流れ動いた。
何だか、寝苦しいはずの夏の夜が嘘のように
グッスリと深い眠りにつけるのだった、、、
そう、眠りにつけるはずだった、、、
が、そんな夢うつつは夢でしかなかった。
追憶ってのは、甘く切ないものにしかすぎなかった。
寝苦しい夜は続く、、、