朝、教育テレビの「にほんごであそぼう」が始まると、
涙を浮かべ娘は走ってくる。
その声がコワイのか、動きが耐えられないのか、
いずれにせよ「方丈記」や「花伝書」などの一説にリズムをとっている
コミカルな野村萬斎 が苦手のようである。
そういえばマンサイが以前テレビでこんな話をしていた。
『まだ、若かった頃、海外の大きな演劇場に呼ばれていったのだが、
集まった人や劇団がどれも独創的で、
代々続いている狂言をしている自分は気圧されてしまった。
しかし、2日3日と観てるうちに、
「この人たちは自分ひとりで動きやテーマを考えている。」
と、思うようになった。
それに対して、狂言には平安時代の猿楽にまでさかのぼる伝統があり、
自分の動きには連綿と続く時間の厚みがある・・・・・。』
細部は違っているかもしれないが、全体としてそういうことを言った。
建築にしても奇をてらった一発勝負よりも、
新しく建てた家でも「この部屋でボヶーっとしたい」
と感じることが出来る家だったり、
不具合が生じても補修を繰り返しながら建築を保持していけば、
奥深いモノになるだろう。