赤く錆付いた鉄の扉を開け、閑散とした階段を
コツンコツンと足音を響かせ暗闇を楽しみながら下りた。
ワタクシの中にはこんなコトを待ち望んでいるモノがあったのだと、
気分は妙にウキウキとしている。
得も言われぬ安心感さえ湧き上がってくる。
ウキウキした気分を落ち着けてから、
おもむろにもう1枚の鉄の扉を開ける。
ギギーと扉の音がホールに響きわたり、
メガネをきちんとかけ直してのぞき込んだ。
そこには意識的に造られた廃墟が出来上がり、
未完成なものが完成されていた。
金網に詰め込まれたコンクリートのガラの壁がたたずみ、
かつてはタンクで使用されていた鉄板はカフェのカウンターになり、
ソレは黒く光り怪しげに迎えてくれる。
ココは何かに向けて常に造り続けられていくだろうモノ。
コノ場所で、何かを創るという快楽を生み出していけたら、
コノ仕事のお手伝いをするという、
一片の願望を果たすことが出来たと思う。