岡山の街の中。
築何十年にもなるコノ建物は公園を見渡すように建つ。
桃太郎通りから 一本中に入った角地。
窓からはバラックタウンが見え、ソコは野良犬が人の手首をくわえて走る。
ソコまでは行かないが、ソレに近いくらいの凄惨さがある。
ゆっくりと工事が始まった。
今日はヤケに寒い。
電気工事が始まったばかりなので、入り口はまだ暗闇だ。
暗闇にじっとヒザ小僧をかかえてうずくまっていたら、ポッと頭に光がついた。
小さな豆電球ほどの光だ。
コノ点灯を繰り返していけばいいモノが出来るに違いない。
ソノ場所に以前からあるモノを生かしながら、
あるいはある部分を殺しながら再生させてゆくのが
増築・改築・改修の設計の妙である。