人気ブログランキング | 話題のタグを見る
たまたま
ワタクシの事務所は一日に何本かの電話があったり、
突然の来客もほとんどない、そんな仕事場である。
あってもほとんどが携帯電話だったり
事務所にかかってくるのは営業の電話だったリが多くって、
完全にさびれているわけでもなく、
それほど繁盛を呈してるわけでもない。
ヒマを持て余しているわけでもないのだが
ごくごく普通の建築設計事務所である。


そんな事務所に突然の来客。

「うわさを聞きつけて是非社長にお会いしたい。」
と、玄関で話している。

「どういったご用件でしょうか?」
「社長に是非見てもらいたいものがあるんです。」

うわさを聞きつけて設計事務所に来て、見てもらいたいものとはなんぞや?

どういう形で設計の依頼が入ってくるかわからない。
とにかく聞いてみよう。




「見てもらいたいものってなんですか?」
「まぁ、持ってきます。少々重いので、、、」

「マグロが釣れたので、、、それと交換して、、、」
と、言いながら色白で細身のオッサンは下りていった。

ワタクシメの事務所は4階建ての4階でエレベーターなんて付いていない。
重いものって、さぞかし大変だろうに、、、
それよりも「マグロ」が気になる、、、

上がってくるなり、黒いケースを開け、
水晶のネックレスが飾られたプラスチックで出来た船、
蓮の形をした水晶、
木の台に置かれたアメジスト、
の、3品を出す。

「ブラジルでクロマグロが3匹釣れたのでコレに交換したんです。」
「たまたま釣れたんです。
たまたまです、、、」
と、色白で細身のオッサンは謙虚に言う。

どうみてもマグロを釣るような腕の太さではない。
肌の色なんてワタクシと変わらない。

「神戸から来て、まだ誰にも見せてない。
社長が始めてです。」
とホコリまみれの置物を指差す。
オッサンに興味深くなってきた。

「うわさを聞きつけて、、、」
と、言っていたので聞いてみた。
「どこで、ここをお聞きしたんですか?」
すると
「たまたまです、、、」

ますます面白い。



延々と説明する。

「要点だけをお聞かせください。」
「岡山で遊ぶ金が欲しくて、、、」
と、小指を立てながら言う。
「岡山はそういう場所あまりないですよ~」
オッサンはちょっとあせりながら、
「いや、神戸で遊ぶための金が欲しい。」

整理するとオッサンはクロマグロを3匹釣り、
そのマグロと置物をブラジルで交換したらしい。
神戸に船を置いていて、神戸で遊ぶ金が欲しくて
わざわざ岡山に売りに来たということになる。
ごくろうな話ですな。

「ちなみにおいくらですか?」
と、ためしに聞いてみた。
「私の船には乗組員が8人いる。
(まだ言ってる)
昔は40人くらいいたんだけど、、、
こいつらを遊ばせてやりたいんだけど、、、
(遊ばせてやれよ)
一人当たり、、、」
と言いながら、左手を広げ「5」って書いた。
「40万ですか。無理です。」

普通にマグロを売ったほうがいいんじゃないの。

突っ込みどころ満載だったけど、
しかし雑なストーリーだった。


その後、下の階に訪問していた。
by kta-room | 2009-09-18 13:51 | かりそめ
<< 穏やかな土日 そろそろ >>


AX